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相続に関する最高裁の見解

  • 2017年2月1日
  • 読了時間: 4分

報道によりますと、相続に関する2つの事件について、最高裁が昨年12月と本年1月にそれぞれ見解を示しました。

少々長くなりますが、興味のある方はご覧ください。

1. 預貯金の協議分割について

従来、相続財産のうち金銭債権である預貯金については、「可分債権(比較的簡単に分割できる債権)」に該当し、相続開始と同時に法定相続割合によって相続人に分割されるものとして取り扱われてきました。

しかし、昨年12月19日、最高裁でこれとは異なる見解が示されました。

事件としては、相続人の一人が生前贈与を受けており、預貯金を法定相続割合で分割した場合と、分割協議が必要な他の財産とあわせて分割した場合とで受け取る財産の額が大きく変わってくることから、預貯金の取り扱いを巡って争っていたものです。

最高裁の判断は、預貯金についても他の不可分債権同様に協議分割の対象に含めるべきというもので、理由として次のように示しました。

 ①相続財産については、相続人間の公平を図るため幅広い範囲のものを取り込む必要がある

 ②預貯金は残高が常に変動するものであり、確定額の債権として分割されるものではない

 ③定期預貯金なども、契約上分割払い戻しに一定の制限を設けている

この結果をふまえ、実務上「従来可能であった相続人各自の法定相続割合による払い出し請求ができなくなり、遺産分割協議が終了するまで預金凍結が続くことから、葬儀費用のほか相続人の当面の生活費の捻出などに影響が及ぶ恐れがある」という意見が多数あります。

預貯金で財産を残すことも一つの方法ですが、その一部を生命保険のように受取人を明確に指定できるものに切り替えたり、遺言書によって分配方法を指定しておくことも有効です。

2. 養子縁組による相続人について

相続では相続税の課税・非課税も大きな問題になります。

現在の相続税法では、非課税範囲を次のように定めています。

  基礎控除額3000万円 + 法定相続人の数 × 600万円 = 非課税財産の範囲

このため、例えば法定相続人が3人の場合、上の公式を当てはめると、

  3000万円 + 3人 × 600万円 = 4800万円 

となり、4800万円までの相続財産には相続税がかからないことになっています。つまりは、法定相続人が多ければ多いほど、同じ財産価額であっても相続税額に差が生じるということになります。

ちなみに、この法定相続人には養子縁組による子も含まれますが、相続税法では養子以外の実子の有無によって法定相続人に加える人数を次のように制限しているため、いくらでも増やせるわけではありません。

 亡くなった方に実子がいる場合に法定相続人に加えられる養子の数  ・・・ 一人

 亡くなった方に実子がいない場合に法定相続人に加えられる養子の数 ・・・ 二人

また、民法802条で養子縁組には当事者間の同意が必要と定められていますので、一方的な手続きは無効になります。

今回裁判で争われたケースは次の家族関係によるものです。

 ・被相続人男性(A)には3人の子(B・C・D)がおり、Aの妻は既に死亡している

 ・Aは生前、BとBの知り合いの税理士などから、相続税対策として養子縁組による法定相続人の増員について説明を受け、Bの子(つまりAの孫)Eを養子として迎え入れた(Eは当時赤ちゃんでした)

 ・AはEと養子縁組をした翌年に死亡し、相続が発生した

AとEの養子縁組により、それまで3人だった法定相続人が4人に増えたため、その分相続税は減額されましたが・・・

その後、CとDはこの養子縁組について「単なる節税目的に過ぎず、親子関係をつくる意思はなかった」として養子縁組無効を訴えました。これに対しBは「Aが自ら手続きしたものであり、有効である」と対立することになりました。

一審ではE側が、二審ではC・D側が勝訴し、E側が上告していたこの争いについて、本年1月31日、最高裁は「節税の動機と縁組の意思は併存し得るし、AとEの間に縁組の意思がないことをうかがわせる事情はない」との判決を下し、E側の勝訴が確定しました。

はたから見ると、養子縁組によりそれまで3人だった相続人が4人になり、各人の相続割合(平たく言えば取り分ですよ)が減ったことで泥沼の兄弟げんかが始まったように感じます。

今回のような養子縁組による節税対策は近年わりと行われており、違法なものではありません。

ですが、節税目的で養子縁組をお考えの方、税金のことだけではなく、あとに残された家族に与える影響がどれほどのものかよく考えたうえで進めてください。

相続対策の第一歩は、自分の財産をどう残すべきか、あるいはどう配分したいかなど日頃から家族と充分相談することから始まります。

(写真は最高裁判所:裁判所のホームページから引用 http://www.courts.go.jp/saikosai/)


 
 
 

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